時のなかの赤い糸
「いやぁ、気ぃ使って散歩いったはいいんじゃけど。迷ってしまって途方にくれてしもたんや」
はははっと笑いながら話す坂本に、永倉も遥も申し訳なさばかりが募った。
「そんな時に佐久間象山先生に拾われて、北辰一刀流を習ったんじゃ。
あ、そんときに山南さんも一緒やったよ
近藤さんと土方さんとも友達になったりしたしなぁ。
懐かしいにゃあ」
昔の事を思い出しだした坂本が目をつむってウンウンと腕を組んで頷いた。
「ほんで土佐藩入ったけどなんか嫌で脱藩して、今は勝海舟先生のもとでお世話になってるんじゃ」
フムフムと簡単な歴史書を読んだ気分になる3人が頷いた。
「開国開国!今は新選組かて幕府かて力持っとるが、いつか俺が日本を洗濯して見せるにゃ!」
急に立ち上がった坂本に遥も永倉も山崎も目眩を起こしそうになった。
「日本人同士斬りあう時代はもう終わりじゃ、もっと世界に目を向けにゃ遥も生まれて来なかった」
坂本は最後にニッコリ笑った。