時のなかの赤い糸
未来への兆し
「ほんじゃ、俺は仕事があるきに、また縁があったらあおいやないかい」
坂本はしょうじを開いて出ていった。
「………すごい……」
遥が呟いたのに、永倉も山崎もコクンと頷くばかりであった。
「遙っ」
遥は窓枠から外に見えた坂本の後ろ姿を呼びとめた。
「なんじゃい」
振り返った坂本が遥を見る。遥は窓枠に手をついて上半身を外に出した。
「これから、私たちは敵同士になるんですか?遙はもう私の友達じゃないんですか?」
「……俺は、遙じゃない。坂本龍馬だよ。歴史は変えちゃいけない」
一瞬、永倉君のお兄ちゃんに戻ったように見えたのは、永倉も遥も同じだった。