時のなかの赤い糸
「………遥。お前」
後からやって来た永倉は少し焦ったような表情をした。
「小十郎くんには生きて欲しいって何故か思えたんです」
静かに遥が手のひらを見ると、葵珠は綺麗サッパリなくなっていた。
「そっか。遥らしいよ」
永倉が遥の頭を撫でて廊下を歩いていった。
「……遥にはやられるよ」
屋根の上で様子を見ていた山崎が少し笑って目を閉じた。
「永倉はんの言うとおりやな」
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「きゃははは!やめて原田さんっくすぐったいよぉ」
「遥が悪いんだぜ?」
ドタバタと屯所の前の石畳を走る遥と原田。そしてほかにも沖田、山南、永倉、藤堂の姿があった。
地獄の屯所10周を命じたのはもちろん鬼副長。
小十郎を取り逃がした罰だった。
「斎藤さんは?」
「さぁ?」
いまだに追いかけあいっこを続ける遥と原田は無視で、幹部皆が走っていた。