時のなかの赤い糸


「………遥。お前」



後からやって来た永倉は少し焦ったような表情をした。




「小十郎くんには生きて欲しいって何故か思えたんです」




静かに遥が手のひらを見ると、葵珠は綺麗サッパリなくなっていた。




「そっか。遥らしいよ」




永倉が遥の頭を撫でて廊下を歩いていった。



「……遥にはやられるよ」




屋根の上で様子を見ていた山崎が少し笑って目を閉じた。




「永倉はんの言うとおりやな」




----――――☆




「きゃははは!やめて原田さんっくすぐったいよぉ」



「遥が悪いんだぜ?」




ドタバタと屯所の前の石畳を走る遥と原田。そしてほかにも沖田、山南、永倉、藤堂の姿があった。




地獄の屯所10周を命じたのはもちろん鬼副長。



小十郎を取り逃がした罰だった。




「斎藤さんは?」



「さぁ?」




いまだに追いかけあいっこを続ける遥と原田は無視で、幹部皆が走っていた。




< 250 / 506 >

この作品をシェア

pagetop