時のなかの赤い糸
「………」
ほんとは遥もわかってた。
―――あたし、女の子らしい春ちゃんに焼きもち妬いてただけなんだ。
私とは表返しに違う春ちゃん。
ほんとは憧れで、私もそうなりたいって
ただ私は永倉さんに理由を突きつけて憂さ晴らししただけ。
永倉さんだって、きっと沖田さんの事が心配だからとかじゃないかな。―――
頭を下げた永倉を見て、遥の胸にドッと何かが押し寄せてきた。
「永倉さん、ごめんなさい私……」
「ごめん遥っ」
「ごめんなさい永倉さんっ」
謝りあう二人の様子を見て、土方が安心してため息をついた。
「一件落着や」
フッと屯所の屋根の上で山崎は月の光を浴びながら呟いた。
謝りあった二人はいつの間にか笑顔にかわり、手を繋いで笑った。