時のなかの赤い糸
向かう先はもちろん春のいる病院だ
遥は、胸に護身刀を忍ばせていた。
(いちよう新選組隊士なんだもんね)
袴って楽だなぁ、と改めて着物を着てみてわかった遥だった。
「こんにちわぁ」
「遥ちゃん!待ってたんよ!」
病院の扉を開けば、明るい春の声がすぐ降りかかってきた。
「うん。いこっ!」
遥と春はスキップしながら三条通りを目指して歩き出した。
「着物すっごい似合ってる!」
「そうかなぁ」
春に言われて照れ臭くなった遥は恥ずかしさを間際らすために歩くスピードを早めてみた。
「あっはっはっ!照れ屋!」
春はお腹を抱えて目のはしっこに涙を含みながら笑った。
「永倉さんも喜んでたんじゃない?」
春の言葉に遥の息がつまった。
「なんで知ってるの?!」
「沖田さんから聞いたの♪」
それでか、とあんちょのため息を漏らした遥に春がクスッと笑った。