時のなかの赤い糸
「春ちゃんは?」
なんとか話題をかえたかった遥は思い付いたまま言葉を発した。
「ん――…男は興味ない♪」
春の言葉にビックリした遥が足をピタリと止めると、春も合わせてピタリと止まった。
「あ、でもね?沖田さんは優しくていい人だと思うよ?」
何をフォローしているのか……
遥は春の価値観にフーンと頷きながらまた足を進めた。
---―――☆
「これ可愛いよ!」
「春が買いなよぉ」
遥と春が訪れたのは雑貨屋さん。
可愛い簪を見にきたのだ。
春と遥が目を止めたのは同じ簪。
銀で作られていて、お花の模様がかたどられて、その先に赤いリボンが結ばれていた。
「おそろいにしよーよ」
膨れっ面をする春に、申し訳ないけれど遥は「ごめんね」と断った。
「あたし髪を簪でとめること、ないんだ」
「……わかった!じゃああたし買うから、別のやつおそろいにしよ!」
春に遥が笑って頷いた。