時のなかの赤い糸
「「あ」」
どうも遥と春は趣味があうらしい。
今度は口紅を見ていたら、何色もあるなかで、淡いパステルカラーの桃色の口紅を手にとっていた。
「くははっ」
思わず噴き出してしまう。
「もお決まりでしょ」
「だね♪」
笑いあいながら遥と春は揃って桃色の口紅を買った。
それから色々回って、半分以上は食べ物に費やしたのだが、夕刻になってお開きにすることにした。
「楽しかったぁ!」
「うん!春のとこまた遊びに行くよ」
「ホントに!?やったぁ」
二人の影が、帰り道に延びている。
―――――――――ドンッ
「きゃっ」
「いてぇ」
ちょうど曲がり角だった。
春と浪人がぶつかって、春の足取りがよろついた。
「打撲した。いてぇよ医者代払ってもらおうか」
どこかで聞いた脅し文句に遥の眉間にシワがよった。
「―――!」
腰に刀がない。あちゃーと遥がパニックになる。
(そうだ!護身刀)