時のなかの赤い糸
遥がすかさず護身刀を浪人に向けると浪人はニヤリと笑って刀を構えた。
「春、退いて!」
「え、うんっ」
後退りする春をよそに遥は護身刀なんかで戦った事がないから冷や汗が伝った。
「そんな短いのでどうするつもりやねん」
笑い出す浪人。
遥は今がチャンスだと護身刀を刀に向けて、浪人の手から刀を奪った。
「なっ」
浪人は慌ててもう一刀抜いたけど、これで状況はおなじ。
遥の刀が静かに相手の喉を狙う。
「お前、何もんやっ」
「………新選組2番隊員。綾野遥」
キ――ン―――………!
刀がギリギリと重ねられて跳ね返る。
隙をついた遥の刀が峰打ちで浪人の腹を叩いた。
「うっ」
「女の子に手を出すなんて最低ですよ」
遥は刀を捨てると春の方を向き直った。