時のなかの赤い糸
原田の非番
「むり」
「え―――――ぇι」
隊士がよく行く団子屋さんの、いつもの風景だった。
お店の桃色の暖簾は原田がプレゼントしたもの。
そして、看板娘のマサちゃんは原田の大好きな女の子だった。
「お願いだよぉ俺の何がいけないか言ってくれねーか?!」
「たらし。くさい。鬱陶しい」
ずーーーん。
こうして原田がいつも行う愛の告白は無情にもマサちゃんの前では砕けるのだった。
「チクチョ――!」
わーん。と泣き出した原田は走って団子屋さんから出ていった。
マサちゃんは今日も過ぎていった一難に安心のため息をつき、お店の机を拭いた。
「ねーちゃん酒!」
いかにも不逞浪士がマサちゃんのお店に入って来て、人目も気にせず拭いたばかりの机にドカッと座った。
「ここは甘いもの屋さんです。お団子はあってもお酒はおいてまへん」