時のなかの赤い糸
強気なマサちゃんに男は睨みをきかせて大きく笑った。
「なら金だせ!」
怒鳴り声は、外にまで響いて町人たちが群れるように店の前に溜まりだす。
原田も少し遠まったマサちゃんの店の様子に、勘が働いて足を店に向けた。
「うちはお金もありまへんっ!」
――――――――――ガシャンッッ!
店の様子を見ていた町人たちが大きな物音にビクリと反応して、原田の足も早くなった。
店の中では、男が刀を取り出して、お皿を割ったり、椅子を壊したり、すごい大暴れで、マサちゃんは気を失いそうになっていた。
「マサちゃんっ」
駆け付けた原田がすかさず刀を抜く。
原田はなが槍専門だから刀はあまり使わないが、大好きなマサちゃんのため、そして、男の一世一代のチャンスを見逃す訳にもいかず、半分楽しみながら原田が笑った。
「お前はなんだ」
「お前こそなんだ」
お互いバカなのか、外に聞こえていて、町人はガックリ。格好よく登場した原田の発言に肩を落とした。