時のなかの赤い糸
「お前には俺の名前は教えねーよ」
「えー、教えてくれよぉ」
(ダメだ。バカたこいつら……ι)
マサちゃんが頭を抱えた途端、男が原田の顔面をビンタした。
「……お前。きもい」
(どっちもどっちだよ)
マサちゃんはもっと深く頭を抱えた。
「お前には負けるよ。とりあえず。表でろ」
マサちゃんの肩が揺れた。
原田のあんな声。初めて聞いたのだった。
少し動揺した男が原田に睨まれながら店を出ていった。
「お前からこいよ」
挑発する原田に、怒った男は乱暴に刀を振り回す。
「おらあぁあぁあぁぁあ!!!」
たかっていた町人も何事かと二人の様子見いる。
「もうこないの?俺からいっちゃうよ?」
またもや挑発する原田。
男はガンっ!とマサちゃんの店の壁を叩いた。
「……その店に指一本触れるな」
怒りこもる原田の声。
原田が刀をおろした瞬間、一瞬で勝負は決まった。
原田の刀の先が、男の喉に向けられ、男は冷や汗流して原田を見下ろした。