時のなかの赤い糸
「おぉぉぉお!」
沸き上がる歓声の中、マサちゃんは店の外に出ることは出来なかった。
(うそ……格好いい)
心の片隅で淡く幌めく桃色の気持ち。
原田に抱くなんて思ってもいなかったからマサちゃんは原田の顔なんて見れなかった。
「んじゃ不逞浪士さん。大人しくお縄をうけてもらうぜ」
原田の言葉に皆シーーーン。
(何者!?)
町人も含めて皆の意見だった。
この場所で知ってるのは本人とマサちゃんだけ。
「早くこいよ」
強引に引っ張られる男は、焦る分うまく言葉に出来ない。
「あっ!新選組!」
町人の1人が原田を指差していった。
「え?俺のこと知ってるの?」
嬉しそうに原田が照れる中、男は「相手間違えた」と落胆するばかりであった。
「絶対違うんだから!」
マサちゃんは自分の気持ちをうそつくために机をバンッと叩いた。