時のなかの赤い糸
ただ春の夢ごとし
「おーい綾野」
「はーい」
今日の屯所はやけに騒がしかった。
「ぎゃ!」
「おいおいι」
バタバタと、遥の背中に誠の旗が落ちてきて、松原が笑っている
今日は、お世話になった壬生の八木邸と前川邸から西本願寺へお引っ越しの日だった。
「どんくさいなー、ほら」
誠の旗を退かしてもらって、なんとか立ち上がった遥は、恥ずかしそうに旗を受け取った。
(意外に重いんだもんι)
ふー、と遥は一息ついて、八木邸を眺めた。
「ほんとに色々あったな……」