時のなかの赤い糸
近藤と土方は山南を静かに見据えた。
「近藤さん。楽しかったよ、浪士募集の言葉を聞いて、ただ〝尽中報国〟の為にここまで一緒に新選組をのしあげれたことは、私の誇りです」
「山南さん……」
「土方さん。君とは意見が食い違う事が多かったけど、私は君の考え方は羨ましかった。
ただ率直に隊の事を考えて、飾らない君が私は羨ましかった。
ただ、もう少し慎重になった方がいいよ」
「何だよ今更……」
山南が目を細めて笑った
「さぁ近藤さん。私に罰を」
近藤は山南に言われ、ゆっくり静かに口を開いた。
「山南さん、あなたを切腹に命じます」
騒がしい屯所に、しばしの静けさが訪れた