時のなかの赤い糸
広間に、山南の最期を見届けるための隊士が集まった。
山南は穏やかな表情を浮かべ一礼した。
(ダメだ……)
遥は涙が抑えられなくて、声を殺して目を閉じた。
「遥。ちゃんと見ろ」
隣に座る永倉が肩をさすって遥を支える。
「沖田くん。お願いします」
「…………」
山南は短刀を握ると、着物をずらして腹に向かって短刀を向けた。
隊士たちはその様子を静かに見守っている
「…………………………………………………………………………」
山南の腕が、力強く短刀を握りしめ、勢いよく腹に突き刺された。
山南は苦痛の表情を浮かべた。
沖田が刀を振り上げ山南に斬りかかる。
その時、山南はフッと穏やかに目を細めて笑った。
「山南さんっ」
遥は耐えきれなく声を上げて永倉の胸の中で泣いた。
長く一緒になって戦った同士の死は、隊士全てに悲しみを与え、次に進む一歩を与えた。