時のなかの赤い糸
「なんで壬生寺?」
遥が久しぶりに来た壬生寺の様子に首を傾げる。
屯所が移ってから遠くなって来ることも少なかった。
「永倉さーん」
ペチペチと永倉の頬を叩くと、永倉は鬱陶しそうな表情をして、それでも起きない。
「こんなとこにおったんかいなぁ屯所変わったんならゆうてもらわんと困るぜよ」
聞こえた声にビクッと遥の体が反応して、その振動に永倉も目を覚ました。
聞き覚えのあるその声は、遙。いや坂本龍馬の声。
振り返れば龍馬は手を振りながら二人に駆け寄ってきていた。
「おーい、遥ぁ新八ぃ」
「遙っじゃなくて坂本龍馬!!」
永倉が遥を突き飛ばした。
「ぎゃっ」
遥は見事に境内の植え込みの中に。
「遥ごめーん!!!!」
「騒がしいなぁι」