時のなかの赤い糸
壬生村を抜けて、歩いていくと、西本願寺まで近づいた。
「ここまで来たから帰りたいんですけど」
「ダーメ」
坂本はニコニコしながら島原大門を潜った。
島原は、太夫の道中が行われていた。
綺麗な太夫が足を八文字を踏みながら禿や引き舟の付き人を引き連れて歩いてる。
「すご……」
本当に綺麗なものだから、思わず遥からため息がもれた。
「そーいや、永倉さん、行ってたよねぇ」
遠い目をしながら笑う遥に、永倉は額に冷や汗を垂らした。
「あんときは仕事、だった……だろ?ι」
「焦ってる」
坂本が二人のやり取りを見ながら笑った
「わかるよ。永倉さん。綺麗だもんね?太夫さん。別に怒ってないよ?ははは。そりゃ来るよね」
あわあわしてる永倉をよそに、「こんにちわ」と遥は遊女に挨拶しだした。
「本当に綺麗」
「遥ーι」
「私も、ここで働こうかな」
しくしくと無視された永倉は坂本にすがった。