時のなかの赤い糸
【新しい未来】
白い光に包まれて、遥は渡り廊下に戻って来た。
肌寒い空。
隣には永倉はいない。
「遥」
振り返ると、笑顔で階段を上がってくる永倉の姿。
「永倉さんっ」
夢中で抱きつくと優しく包みこんでくれた
「遥、俺は永倉新八の生まれ変わり。永倉新八じゃない」
それでもこの人はギュッと強く強く、骨が軋むほど抱き締めてくれる。
「ただ、君が愛しい」
これでよかったんだよね?
最高のハッピーエンドでしょう?
それなのになんで……
遥の胸に残る虚しさ。
この人は、刀も袴もない今の人。
平成の世の中なら十分だ
だけどわかったよ