時のなかの赤い糸
「だね、様になってたよ」
「だろ?」
遙は渡り廊下から空を見上げた。
「ちょっと寂しいかも」
遥は無言で頷く。
―――――――準備が出来たわ――――
ドクンッと足元が揺れる。
「これが最後だね」
「気をつけてな」
遥は白い光に包まれて真夜中の太鼓楼についた。
「あ、遥」
太鼓楼の急な階段。
原田が落ちそうになった遥の手をひく。
「お前も来るか?」
「どこへ?」
原田の後ろを見てみると、永倉、斎藤、藤堂の姿。
日にちが変わったらしい。
一旦皆と外に出た遥は、真っ青になった藤堂から話を聞いた。
「近藤先生と、伊東先生が対立して。伊東派は、新選組を離れると」
「えぇ?!じゃあ藤堂くん新選組やめるの?」
藤堂はもともと伊東派の門出。
連れていかれるのは当たり前なのだが
「近藤先生のところにいたい、だけど、伊東先生は僕の師なんだ」