時のなかの赤い糸
「永倉さん……」
遥が永倉の着物を掴む
「一生会えない訳じゃねーよ」
永倉は遥の手を離した。
どうして手を離されたのかなんて分からない。
まるで拒絶されたような
遥の胸にずっしりと重みがのしかかる。
(永倉さんはもうあたしのこと……)
そう思ったらジワリと涙が浮かんだ。
(駄目だ!新選組隊士がこんなことじゃ)
自分に見切りをつけて歩き出した。
広間に集まった幹部
中心には局長近藤、副長土方が座っていた
「伊東一派が独立する。間者になるつもりらしいが、新選組の間者になられては困る」
土方が斎藤を見た
「お前、御陵衛士の間者になってくれ」
「承知」
斎藤は何も考えず、決まった事には従う、と遥からすれば武士らしいカッコいいと思った。
「あっちは一度ここを出て戻る事を許さないらしい」
近藤が言う
「だが、斎藤。御陵衛士が間者をやらかしたら、藤堂と帰ってこい」
「承知」
土方がニヤリと笑った。