時のなかの赤い糸
疑惑
「まぁ、伊東一派は御陵衛士として局を抜ける。わかったな」
「御意」
解散と、掛け声がかかって、トボトボ広間から離れていく。
永倉も立ち上がって広間を出ていった。
遥はその様子をジッと見て、座ったまま立てない。
追いかけたいけれど、また拒絶されるのが怖い。
「どーした遥」
土方が遥の前に方膝たてた
「泣いた?」
顎をクイッと掴まれて顔をまじまじ見つめられる
「泣いてません」
「なんかあったか?」
「何もありません」
土方の優しい低い声に泣きたくなる。
遥はそれを振り払うように立ち上がった。
「何でもないので」
一礼をして立ち去る遥の後ろ姿をただ土方が見守った。
(あいつ、折れちまう)
遥は下を見ながら自分の部屋に戻っていく
ドンッ!
案の定、前を見ていなかったから人とぶつかった