時のなかの赤い糸
「危ないだろ?」
「ごめんなさい」
遥が顔をあげると、ぶつかったのは永倉だとわかった。
「気を付けな」
そう言って遥の前を過ぎていく永倉。
拒絶だった。
「……永倉さんっ」
呼び止めるのに、永倉は背を向けて歩いていく。
「永倉…さん…」
永倉の横にある広間のしょうじが開いて、土方が出てきた。
「永倉」
土方の手には刀。
永倉の喉に向かっていた。
「………土方さん」
永倉はさすがに動きを止める。
遥は不安に負けてその場から逃げてしまった。
「どうゆうつもりだよ」
土方の鋭い目が永倉をうつす。
永倉は苦しそうに目を閉じた。
「あいつはいつか帰らなきゃいけない。俺が錘になってはいけないんです」
土方が刀を梢にしまう。
「あいつは、帰れたのに、俺とこっちに来ることを選んだ」