時のなかの赤い糸


「泣き。泣いてちょっとでもすっきりせえへんと倒れんで?」



山崎の背中は広くて強くて、吸い付くように背中に顔をあてて泣いた。



「どーしよぉ」

「うん」

「嫌だよぉ、悲しいよ、なんでなの?無理だよ」

「うん」



山崎の背中がジンワリ涙で熱くなる。



土方が腕を組んで遥たちの近くで壁にもたれて聞いていた



自分なら遥にそんな思いをさせないと、拳を握る。


―――
―――――



「うわっ、なんだその目」


御陵衛士の見送りに、遥は藤堂のもとにいった。



「足の指タンスにぶつけて泣いちゃったι」

「なんだそれ」

「あはは、元気でね?頑張ってね」



藤堂はゆっくり頷いた




「遥もな、じゃあ行くわ」

「平助!!元気でな!!」

「頑張れよ!!」



皆に見送られて、御陵衛士の一員となった藤堂は新選組を離れていった。



「いつでも帰ってこい!」

「だめですよ、源さん」



源さんに藤堂が手をふる。

源さんは「そっか」と笑いながら手を振り替えした。




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