時のなかの赤い糸
過ぎ行く時の流れ
「寂しくなったら俺の部屋にこいよ」
ポンッと土方の手が遥の頭の上にのっかった。
「いいんですか?」
「当たり前だろーが。俺はお前のなんなんだよ」
遥はニッコリ笑った。
(土方さんなら、土方さんなら……)
土方なら記憶を塗り替えてくれるかもしれない。
小さな期待。
土方が遥の肩に手を置いた。
「……っ」
たったそれだけのこと
それだけのことなのに体が震え出す。
さっきまで感じなかった肩の痛み
遥が表情を浮かべると、土方の脳裏に先程の永倉と遥の情景が浮かぶ。
「ちと、見てもいいか?」
「え……?」
土方が遥の着物の襟を肩までずらした。
くっきり残る青い手形。
赤く色付く胸元の花。
この花はまだ、遥は永倉のものという証。
土方は遥に服を着せると、立ち上がった。
「……いつでも部屋で待ってるからな」