時のなかの赤い糸
たとえ時が傾けど
「永倉」
「出た……ι」
夜中の勤務にあたっていた永倉の隣に、斎藤が来た。
「道狭いんだから一列になれよι」
斎藤は永倉の前に立った。
「何なんだよお前」
「……俺は今から御陵衛士に戻るだけ」
「あ、それ?平助をよろしく」
「あぁ」
御陵衛士、新撰組間者の斎藤は、少し小走りで御陵衛士の屯所に行った。
今日は丸一日休みだったらしい。
御陵衛士屯所は八坂神社より向こうの円山公園ねねの道にある。
新撰組屯所の西本願寺からの距離はけっこう遠かった。
「あいつら、何か企んでる。また来るから」
少し向こうの方で斎藤が振り返って言った
「あぁ、またな」
永倉が大きく手をふった。
「永倉隊長、あれ」
1人の平隊士が一軒の茶屋を指さした
「ん?」