時のなかの赤い糸
「遥、今日は二番隊のやつらといときな」
土方が遥の手を取って立たせると、しょうじを開いた。
「副長」
しょうじの外には斎藤が膝をついていた
斎藤は御陵衛士の間者。
「おぉ、斎藤。いい報告だと期待してるよ」
土方が言うと、斎藤が顔を上げてニヤリと笑ってみせた。
「そうはいかないようです」
土方が自分に二番隊にいるようにと言ったこと。
斎藤がここにいること。
いくら何も知らない遥だって、何かあることくらい気付く。
新撰組と御陵衛士の間に何かが起こるんだ
「綾野、幹部を集めてこい」
土方が上の名を呼ぶのは滅多にない。
「は、はい」
これは一大事。
きっと。
過去に歩んだ歴史からは違う歴史。
本当の歴史。