時のなかの赤い糸


「だがね、その時に、真剣に進む道を見つけたんだよ。それが、私の誠になったんだ」




謎かけのように笑って話す近藤。





「全くわからないですね」




「あなたにこれを言ったことはなかったですね。私と土方との約束みたいなものでもあるんでね」





「……あなたと土方さんの………そんな大事なことを私に話したりなんかしていいのですか?」




自分は近藤を殺そうと目論んでいるのに



伊東の心に罪悪感がだんだん生まれてきた





「あなただから話すのですよ」





伊東は近藤の言葉に頭を下げて土下座した。





懐からゆっくり刀を出して近藤の前におく





「私にそれを聞くことは出来ない」




「……顔を上げて下さい伊東参謀」




近藤の声はどこまでも柔らかい。




「このことを土方が知ればあなたをどこまでも追いかけるでしょう。あなたはその前にお逃げ下さい」






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