時のなかの赤い糸
「行くぞ」
永倉が言った瞬間、その場にいた隊士たちが一斉に部屋を出た。
「永倉ぁあぁ!!!」
向かってくる御陵衛士の刀。
「伊東先生の敵!!」
がっと真っ正面からの迎え撃ちだった。
「………綾野っ」
暗い夜に、遥の前に現れたのは藤堂だった
「あっ、平助くん!」
遥が声をかけた瞬間、藤堂の刀が遥の刀にめり込んだ。
「!?」
「ごめん。」
力で押されて塀まで追い詰められた
「平助っ!!」
永倉の声が聞こえたと思ったら、ドスッという鈍い音と「いってぇ!!」という藤堂の声が聞こえた。
「あっ………」
藤堂がしゃがんで、視界が広がると、遥は目をみはった。
三人しかいなかった御陵衛士も、新撰組と対等に増え、
そこはもう戦場だった。