時のなかの赤い糸
「……あっ平助くん大丈夫!?」
慌てて遥もしゃがみこむと、少し涙目になった藤堂と目があった。
「峰打ち……ι」
なんだ、と遥が安心してため息を落とした
「ね、平助くん新撰組に戻って来て?」
遥は藤堂の肩に手をかけるた
必ず「うん」と言葉が帰ってくると思って
「ごめん」
聞きたくない。聞きたくない。藤堂の口から「ごめん」はもう聞きたくない。
「平助くんっ……」
藤堂自身の手を遥の手に重ねた。
「俺ね、伊東先生に存在を認められた。もちろん近藤先生だってそう。新撰組の皆もね」
「じゃあ…」
「だけど、一番認められたかったのは、伊東先生だったんだよ。影薄い俺を御陵衛士に呼んでくれたのは伊東先生だったんだよ」