時のなかの赤い糸
ザンッ―――――――――………
目の前で流れたのは血。
倒れ行く藤堂と、目の前の出来事を把握していない原田。
さっきまで気りあっていたのに、藤堂の背中からは黒い血がドクドクと流れていた。
斬ったのは、御陵衛士の箕輪。
「……平助…?」
原田と遥が倒れた藤堂にしがみついた。
箕輪は、何も言わないで刀を構える
「……何しやがんだてめぇ」
低く唸る原田の声
「邪念を振り払ったんだよ。敵に斬られるより我らが処罰するほうが彼もきっと喜ぶ」
淡々と語る箕輪に、遥も原田も、息を詰まらせた。
沸々と沸き起こる感情
新撰組を敵と認識する箕輪。
藤堂は違う
あの藤堂だけは何があっても絶対違う。
“もし”なんて言葉、藤堂を前に存在しない。藤堂は裏のない男だから
確かにこの瞬間も藤堂は仲間だった。