時のなかの赤い糸
「今更女だからって何よ!!あたしだって武士として生きてきました!!」
でなければここまでやって来ていない
守りたいものがあるから
「じゃあ何で平助の気持ちがわかんねぇんだよ!!」
原田が遥の肩を掴んだ
「わかんない!!でも武士だからって分かることなの!?」
「武士なら戦か切腹で死ぬのが本望なんだよ」
「っ原田さんなんか大嫌い!!」
遥は原田の手を振りほどくと、屯所に向かって走り出した。
「遥っ」
「ほっとけ新八」
武士の死に方はたった2つだけ?
遥は何も納得いかなかった。
幸せに大切な人に看取られて死ぬのもいいじゃない
原田だって箕輪に怒っていたのに
遥は大分走ると、歩みを止めた。
夜道を月明かりだけが照らす。
「遥」
前の方で一つ提灯が光を放っている。
誰だかわからない。