時のなかの赤い糸
(写真だ)
未来から来た遥はすぐにわかったけれど、横から見ていた永倉は目を見開けてポトガラを凝視した。
女の優しい笑みと、隣に凛々しく写る男。
「なんであんたがこの中にいるんだ?」
永倉の質問に、遥と女はお腹を抱えて笑い出した。
無理もないのは当たり前なんだけど、
言われるとやっぱり笑ってしまって
永倉はそんな二人にムッとした。
「うちもよお分からん毛で箱の前でちょっとじっとしてたら写るんて。
海の向こうから来たって聞きましたなぁ」
女は大事そうにポトガラを風呂敷に包んだ
「大事なんですね」
「へぇ、とっても。うちの隣におったんは、許嫁やねんけど、秘密の仕事や、いうて京都から離れて行きはったん」
だから、今はこれが一番大事。
と、笑って、女は遥と永倉に一礼するといそいそと屯所を離れていった。