時のなかの赤い糸
あたし、女です
「遥!街いこ」
「綾野さん?買い物に行きませんか?」
「綾野!買い物行くぞ」
藤堂、沖田、原田が次々に遥の部屋を訪れた。
遥は髪を結っているところで、目を真ん丸にした。
「買い物?」
「みんなで行きましょうね」
「は、はい?」
時刻は昼の1時を過ぎた頃、遥、沖田、藤堂、原田が屯所を抜け出した。
「何買いに行くんですか?」
遥は、隣を並んで歩く原田に問いかけた。
「綾野の着物だよ」
(あたしの着物?)
遥はまた男物を頭の中で連想したが、昨日永倉に「女でいい」って言われたから、女物が良かった。
ふと手に目をやると、今朝の練習でまた出来た豆があった。
(この手は女の子じゃないか)