時のなかの赤い糸
近藤が、伏見奉行所と二条城を行き来していた時だった。
馬に乗る局長、近藤の肩を、弾丸が貫いたのだ。
やったのは
伊東一派の残党
護衛についていたのは島田らだけだった。
「…平助君が聞いたらきっと怒ります」
また、いつもの大木の下で、遥が不貞腐れていた。
「そうだな。許せない。」
さっきまで仇を打ちにいくと騒いでいた永倉も落ち着きを取り戻して座り込んでいた。
「沖田さん?」
顔を上げた遥が目を疑った。
どうしてここに沖田?
顔色は悪くて、
お世話をしてくれていた花に肩を貸してもらっていた。
それでも笑って
「久しぶり」
なんて言うものだから、遥と永倉はすぐに沖田に詰め寄った。