時のなかの赤い糸
「さっき養生していた家に不逞浪士が来て、沖田さんを狙ったんよ。
だから伏見に逃げて来たの」
沖田の横で、花は不安そうな瞳をしながら言った。
花は、沖田が縁で遥と仲良くなった医師の娘だ。
あれきり会ってはいなかったが、花に変わりはない。
沖田を特別視して、看病してくれている。事くらいが変わったところだろうか
「ありがとう、花ちゃん」
「ううん。遥ちゃんが元気そうでよかった」
遥の声を聞いて花は人懐っこい笑顔を見せた。
この笑顔に、永倉が揺れそうで心配。
コッソリ横目で永倉を盗み見ると、永倉は真っ直ぐ沖田を見ていた。
「沖田さん、幸せじゃないですか」
「何が」
遥は沖田の耳元に顔を寄せて、コッソリ呟いた。
「花ちゃんとうまくいった感じで」
言うと、血色の悪かった沖田がフッと笑った。
「…そーですね。」
遥は本当に変わらないと沖田が思う