時のなかの赤い糸
突然、男と偽って壬生浪士組に入ってきた遥
すぐにバレてしまっていたけれど
遥はいつも人を惹き付ける笑顔を持っている
人を思う心を持っている
だから人を呼び
一緒に歩いていこうとできる。
そんな遥が
羨ましかった。
「沖田さん、お部屋用意しますね、お疲れでしょう」
いつだって人の心配ばかりして
それでも負けないところはあるんだ
「近藤先生に、何かあったでしょう」
皆の雰囲気を読み取って瞬時に判断する。
「…沖田さんには敵いませんね」
花と変わって沖田の肩を支えた遥がよろよろと歩きながら言う。
「やっぱり。皆さん顔に出過ぎです」
「言いますか?」
「嫌、いいです。土方さんから聞きたい」
強く言った沖田の隣に、ヌッと永倉が現れた。