時のなかの赤い糸
山崎にはいくら触れられても
嫌いになれかった
拒絶することが出来なかった。
「俺、未来でもし遥と出会うんやったら、
運命なんか関係なしに拐いにいく。」
今でもそうしたいのに
永倉に笑いかける遥の笑顔が一番好きだと分かっているから
そんなことも出来ない。
第一、山崎は自分自身で先はない事を確信していた。
山崎の額に浮かんだ脂汗を拭きながら、遥が小さく頷いた。
「有言実行してくださいね」
「未来に永倉さんがおらんかったらな」
運命とはいかに残酷か
話すことも辛くなった山崎は何も言わないまま遥の手を握った。
「山崎さんには感謝の気持ちがいっぱい過ぎて言い切れません。
いつも支えてくれて、助けてくれて、
本当にありがとうございました」
言い終えた後に遥の頬に一筋涙が零れた。
(未来にも遥と永倉さんの赤い糸が繋がらへんように、
俺が切ってやる)