時のなかの赤い糸
あの時の近藤の希望に溢れる瞳は今も変わらず
逞しさを増して真っ直ぐに光っている。
「多摩と言えば」
「何」
「未来での話なんですけど、多摩川にゴマアザラシのたまちゃんがやってくるんです。
多摩といえば、たまちゃんです」
全く理解出来なかった永倉が無言で遥を見つめた。
(何いってんだ?)
「たまちゃんです
たまちゃん」
ははっと笑いながら遥も川に石を投げた。
自分でも何言ってるかわからなかったから
「永倉さんっ子供ができました」
「…………………………………………え?」
遥のぶっ飛び発言に永倉はほとんど絶句。
「なんて、私が言ったらどうします?」
その遥の言葉を聞いて、永倉は盛大な溜め息を落とした。