時のなかの赤い糸
「あれ?本気にしました?」
悪気もなく見つめてきた遥の頬を永倉がグムッと掴んだ。
「にゃにしゅるんれすか」
「何言ってるかわかりませーん。
ていうか。
変な期待させないで」
“変な期待”
そう言って手を離した永倉を見て、遥は絶頂に嬉しさの表情を浮かべた。
そんな遥を見て永倉も優しく笑う。
「永倉さんの子供が出来たら
どうしましょ
未来に連れていっちゃいますよ」
「やめてくれよ。こっちで育てるから」
幸せなのに辛い会話。
それでも笑って話せるのは、一度別れを体験したから。
今が絶頂に幸せだから。