時のなかの赤い糸
火花バチバチの二人の間につけいる隙もなくて、その場は皆唖然としていた。
「………………」
土方は無言の後、近藤を見た。
近藤が黙って頷くと、土方はまた静かに言葉を告げた。
「…………好きにしろ」
「……行くぞ。遥」
「え、あっちょ」
覇気の中で遥は無気力で何も出来ずに永倉に引っ張られて雨の中に出た。
永倉はまた中を見て
「佐之助、どーするんだよ」
と一言声をかけて返事も聞かずに歩き出した。
声をかけられた原田は、いつになく困った表情を浮かべていた。
しばらく歩くと、雨のせいで遥の視界から誠の旗も、うっすらとしか見えなくなる。
あっというまの出来事に、遥は何も考えられなかった。