時のなかの赤い糸
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「これでよかったんだろ?」
原田を加えた何名かの隊士達が出ていった後、近藤はからかうように土方に声をかけた。
「あぁ、願ったり叶ったりだ」
不適に笑う土方を見て、残った斎藤が首を傾げた。
「あの喧嘩は、わざとだったんですか?」
「いや、ありゃ成り行きだ。だが
永倉が言って来なくても、俺は遥を新撰組に残すつもりもなかった。」
斎藤に、それ以上聞く必要はなかった。
自分が土方の立場なら、自分もこうしていただろうとわかったから。
好きな女が戦場にいるなんてこれ以上耐えられるものじゃない。
土方の意志を見た斎藤は強く決心した。
「俺は何があっても新撰組に忠義を果たす」
「そりゃありがたいね」