時のなかの赤い糸
最後の宴
その日の夜。
幹部たちは、広間にいた。
今後の動きの報告と、遥のことについてだった。
「京に向かって、徳川軍の護衛にあたる。
その際、長州との接触は、あまりないように」
近藤が前に立って話す。
「それと、綾野遥のことだが」
遥の名前が出たとたん、永倉と土方、それに他の幹部も心配の顔色を見せた。
「置いておくことは、不可能だ」
「で、ですがっ」
永倉が焦ったように声をあげると、近藤は永倉を見て笑った
「歳、綾野さんの刀のほうは、どうだ?」
土方は近藤の質問にまっすぐ答えた。
「綾野は、できのいいやつだよ。
まだ実戦はないがな」
「そうか」
近藤は静かに口を開いた。