時のなかの赤い糸
新居の香り
ドクンと永倉の体が疼く
(これが夫婦って感じなのか?)
新居とまでは言えないが、永倉と遥は城下町の一角にある空き家に住みはじめていた。
朝、遥より先に目覚めた永倉が隣にいる遥の寝顔を見て理性と格闘を始めた。
ずっとお預けをくらっていて、そのくせに永倉に抱きつくように眠る遥
どうしてこんなに無防備なのかと項垂れる永倉は、今頃自分の提案した暮らしに妥協した。
これからもずっと蛇の生殺しが続く
そんな気さえしてしまう。
昨日の晩なんて最悪だ。
けっこういいかんじだったのに、触れようとしたら遥の寝息が聞こえて
何もできない状況のまま朝を迎えた訳だから
どうしようもない。