時のなかの赤い糸
「綾野遥を、新撰組に入隊させるつもりだ」
「ということは…」
沖田が笑顔になりながら言うと、近藤も頷いた。
「綾野遥を新撰組の幹部として置いておく」
皆の緊張が一気に和らいだ。
「俺、綾野に言ってくる」
「あぁ、まぁ宴だ、
綾野さんも呼んできてくれ」
近藤が座ると、永倉は立ち上がって遥の自室に向かった。
遥は、自室のまえの廊下で膝の中に顔を埋めていた。
(いつもと…違う)
月の光に照らされて、遥の影がやけに女の子らしかっあ。
(あぁ、女物の着物なのか…)
「綾野」
永倉が遥の名前を呼んでも、遥は顔をあげようとしなかった。