時のなかの赤い糸


「永倉さん」



こもった遥の声が、空に消えていく。



「ん?」



遥の隣に座った永倉が、遥の髪を撫でた。



「あたし、ここにいちゃ駄目なんですか?」



顔を上げた遥は、心配な髪をしていた。



月の光で、永倉にはいつもと別人のように思えた。



「聞いてたのか?」




遥はコクンと頷いた。
さっきの会話を途中まで聞いていたのだ




「最後まで聞いたか?」



遥は首をふる。




「綾野、綾野遥を、新撰組の幹部としてここに置くことが決まったんだ」



「え?!本当ですか?」



「あぁ」




遥は、追い出されると思ったから、喜びは倍以上だった。



でも…



「人を…斬るんですね」





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