時のなかの赤い糸
大丈夫
大丈夫
そう言い聞かせて握りしめた手に力を込めた。
「この道まっすぐ行ったら板橋だから」
原田の言葉が重くのし掛かる。
大丈夫
大丈夫
一歩一歩が重い
遥の目に見えるはずのない近藤の笑顔がちらついた。
「遥!?」
ハッと永倉の声に体が止まった。
気付かない間に右手が刀の梢を握って、今にも抜きそうになっていた。
(何してるんだ私)
永倉に声をかけられなければ自分はどうしていたのだろうと、刀から手を離した。
「す……いません」
永倉の手がポンと頭の上に置かれた。
自分が怖かった。