時のなかの赤い糸


今でも近藤の顔が新撰組の皆が頭にちらつく。



誰を切るつもりだったかなんてわからない。



「遥、外で待ってる?」



原田の声に大きく首を振った。


「大丈夫ですっ
私、局長にお礼言わなきゃ駄目なんですっ」



仕切りに首を振り続けると、原田が止めた。




「無理しなくていいんだぞ」

「無理なんてしてないですよ」



ギュッと袴を握った。



「……なんでそんなに義を通すんだよ」

「武士だからです」



せめて最後の日は武士でいたい、と永倉に目を向けた。


永倉はフッと笑って頷く。




「馬鹿だなお前」


呆れたような原田の声にフンと突っぱねた。



「原田さんだって武士でしょう?
私と同じです」





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