時のなかの赤い糸
「かっちゃん」
戦場に立つ土方が指揮をとりながらギュッと拳に力を込めた。
新政府の力は圧倒的に強い。
戦場には鉄砲の玉が乱れるように舞い散っていた。
「島田ぁっ!平隊士と川に下れっ」
「御意っ」
どんなに集中して指揮をとっても、握りしめた拳は震えていた。
「楽しかったよな」
拳を緩めて息を抜いてみた。
目頭が熱くなっただけ
「かっちゃん。俺はまだまだやるぜ
先に逝って
俺のことせいぜい守ってくれよな」
フッと笑った土方はもう一度気を引き締めた。
「尾関!!旗掲げろ!!突っ込むぞっ!!」