時のなかの赤い糸
一睡の夢の如し
キスの後、瞳を開けると現世だった。
藤原氏の三代の栄華もはかない夢と言う。
それなら自分もはかない夢を見ていたのだと遥は渡り廊下に突っ立ったまま笑った。
自分には永倉しかいない
それはわかっている
だけど運命には逆らえない。
今までの自分がそうだったから。
だからこれからも、運命だけを信じて進んでいこう。と遥は帰る道に歩いて行った。
制服は少し寒い気がする。
ずっと和服だったからだろう。
道は歩きやすい。
ずっと舗装されていない道だったから。
でも今までずっとこうだったんだ。
これが自分の世界。
(永倉さん、さようなら)
時のなかの赤い糸。(完)