時のなかの赤い糸
「やろーなぁ。
あいつ、多分忍やで」
山崎はポンポンと遥の肩を叩いた。
「まあ、あいつのほうが色気はあるわな」
「なっ!!じゃあ、山崎さんもあっちの佐藤綾野のほうに行けばいいんですよ」
スタスタと山崎より遥は早足になった。
「ごめんて。まぁなんとななるわ」
そう言って消えそうになった山崎にシガミついた。
「おまっ」
山崎の瞬歩に掴まったおかげで、遥はなんだか見覚えのあるところにきた。
「ここどこやねん」
瞬歩した本人すら、わかっていない。
「学校…」
そう。遥と山崎が来たのはあの日の渡り廊下だった。